6月22日、AppleStore銀座で行われた「『iPhoneのオモチャ箱 iPhone SDKプログラミング』刊行記念イベント」に行ってきました!
このイベントはiPhoneアプリの開発者であり、本の著者である9名のうち、徳井直生さん、岡村浩志さん、笠谷真也さん、深津貴之さん、大宮聡之さん、バスケさん、宮川義之さんの7名が、ステージ上でiPhoneアプリの現状や自分たちのアプリ制作にかける想いなどをトーク形式で行うというものでした。
左から徳井直生さん、岡村浩志さん、笠谷真也さん、深津貴之さん、大宮聡之さん、バスケさん、宮川義之さん
まずは、
■アプリ市場の現状について
・アプリ開発は自分で作るのが楽しいから開発している。
・iPhoneアプリだけで食べていくのはけっこう厳しい。
・Twitterなどでユーザーの意見を聞いたり、コミュニケーションが重要になってきた。
などの意見が出ました。
また、
「毎回作るアプリが次のための営業になる。なので、少しずつでも記憶に残るようなアプリを毎回作るようにしている。イベントなどにも積極的に参加するようにして顔や名前を覚えてもらう。」(岡村さん)
岡村さん
1日に数百本も売れているアプリを開発した大宮さんは、
「Twitterでユーザーとのつながりが大切。」(大宮さん)
とおっしゃっていました。
大宮さん
■Andoroidアプリについて
「アンドロイドアプリはsubmitした瞬間にマーケットに出るので、iPhoneアプリよりも簡単に配信できる。」(徳井さん)
「アンドロイドマーケットは返品ができる。」(宮川さん)
と、僕の知らないアンドロイドマーケットについてのお話が出てきて、このことにビックリ。
返品の話題が出たので、深津さんが、
「iPhoneアプリでも、購入したお客様から金返せ!って言われたらPayPalで返金するようにしている。」(深津さん)
と、ユーザーからの評価や対応について語っていました。
深津さんは、アプリのユーザーサポートなどコツコツやって、ユーザーの信頼を得る。そうやっていくなかで、自然と次のアプリのお客様となってくれる。と、アプリ開発からサポートまでの大切さを教えてくださいました。
■iPad向けのアプリについて
「iPadは写真を見るのに適している。『ポケットオルガン』というアプリをiPadで出した。大きいので実用的に鍵盤を弾ける。しかし、高性能化して大きい画面で指がしっかり押せるようになったが、その分(ごまかしが効かず)しっかり音を出せるようにしないといけなくなったので大変。」(笠谷さん)
笠谷さん
「iPadはパワーがあるので、より高度なゲームが作れる。市場の食いつき方がiPhoneとは異なる。なんとなくPCが欲しいと思ってた主婦層などがiPadに興味持っているようだ。宮川さんち、iPadなんですってよ。と主婦間で話題のネタにもなっているw ラーメンの写真を大きく見せるだけでも、すごいと思われるガジェット。」(宮川さん)
という意見がありました。
■アプリを開発することの意味は?
「1週間で作ったような簡単なアプリでも世界中で使ってもらえる素晴らしさが魅力的。アイディアを形にしてすぐに試せる。」(徳井さん)
「作ること自体が楽しみ。一番新しくて刺激的なこと。」(岡村さん)
「自分でアプリを作って、それを入れてiPadを親にプレゼントした。端末を使い易いようにアプリを自分で開発できるところが魅力。」(笠谷さん)
「作っている人たちがクライアントではなく、直接お客様(ユーザー)に向けて作るのが面白い。自分が面白いと思って作ったものがお客様からの対価としてお金をもらう。いいものや責任をはたさなきゃいけない。アプリが人に密着し、その人のライフスタイルに溶け込めるという面白さがある。」(深津さん)
「アプリが自分の一部になって自分を助けてくれる。地図とか。すごく親近感がある。家計簿もアプリなので楽しみながらつけられる。自分で欲しいと思ったものが作れるのが素晴らしい。」(大宮さん)
「普段自分が持ち運んでいるもののためにアプリを作る、それを便利にするのが楽しい。」(バスケさん)
「世界中に発信できるし、下手すればお金が入るし、モノを作るという素晴らしさがある。」(宮川さん)
徳井さん
さらに、
■起業やマネタイズ(収益化)について
「税金とか困った。人とのネットワークが大事。」(徳井さん)
「マネタイズがしやすい。iPhoneアプリは。でも、それで食べていくのは難しい。起業はしやすいとは思うが、成功は難しいかも。」(笠谷さん)
「収入は自分の作ったアプリが1で、クライアントワークが15くらいの割合。面白いことをやってる人と短期のチームを作って、売上を山分けするスタイルが好き。」(深津さん)
「起業したのは一昨年の12月。iPhoneは儲かりそうだから起業を決めた。個人で起業したが、実際は儲かるのは厳しい。会社としての名義があった方がお客さんのためにもいい。」(宮川さん)
などと、厳しい感じを受けました。少額なら稼げるけど、それだけで食べていくには相当の努力が必要なのでしょう。アプリで一攫千金を狙うぞ!みたいな夢を持ってる人もいるでしょうけど、どの世界でも同じなんですね。
深津さん
最後に、
■今注目していることや、iOS4について
「画面をみるだけでなくて、物と連動してアプリを作ることに注目したい。」(岡村さん)
「iPhoneは今までのコンピュータの代わりになって、ハブ的な役割にもなると予想。iPhoneでカードリーダ決済とかの例。iPhoneを中心にいろいろなデバイスがつながる。」(笠谷さん)
「iPhoneとiPadで大きさや手触りや重さが違う。例えば、ダンベルアプリを作ってiPhoneとiPadの本体の重さでカウントが異なるアプリができたら面白い。」(深津さん)
「iPhoneとiPadでは使うシーンが違う。iPadは事前に使うもの、iPhoneはその場で使うもの。今後は、この2つのデバイスに1つのアプリを提供して連携するようなスタイルを予想している。」(大宮さん)
「iPadに特化したビジネス展開とか面白そう。ラーメン屋とかお店にiPadを置いてもらって、お客さんにちょっと触ってもらうような端末として使ってもらうとか。」(宮川さん)
宮川さん
みなさんの考えがいろいろな方向に向いていて、とても面白かったです。本当に、さまざまな可能性を持っている端末であることを感じさせられました。
また、バスケさんの話によると、
「iOS4はプログラムを作る上で非常に助かる機能がついてる。これはiOS4にしかない。なので、開発者としてはユーザーはiOS4に全員が移行してほしい。」
バスケさん
とのこと。メモリー面で今までのOSよりも優れていて、アプリの安定性も増すのだとか。ただ、iOS4はバッテリーの消費が大きいので、そのへんはユーザーにとっては排他的となるでしょう。
このように素晴らしい開発者さん達がiPhoneアプリについて書いている『iPhoneのオモチャ箱 ~iPhone SDKプログラミング~』ですが、ちょっと読んだだけでゲームアプリが作れてしまうようなサンプルや、アプリ開発についてわかりやすいサンプルなどもこの本のなかには掲載されているそうです。
現役の開発者やこれからiPhoneアプリを作ろうと思ってる人には、ぜひオススメの1冊だと思います。
iPhoneのオモチャ箱 iPhone SDKプログラミング
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