感想

今知るべき『海難1890』トルコと和歌山県串本町、2つの実話と事件の友好物語

いよいよ2015年12月5日(土)に映画『海難1890』が公開となります。実話を基にし、日本とトルコの両国合作映画として完成したとても心が温まる作品です。

この作品は非常に珍しい作りになっていて、本編の途中で急に時代が変わり、現在の日本とトルコの友好の原点とも言える事実としてあった2つの出来事が描かれています。それが和歌山県紀伊大島樫野(現在の串本町)沖で発生したエルトゥールル号遭難事件(1890年)とイラン・イラク戦争時テヘランのメヘラバード国際空港での出来事(1985年)です。

この2つの出来事がトルコと日本の友好を深めるきっかけとなっていて、『海難1890』というタイトルは前半のエルトゥールル号遭難事件から取られていることがわかります。

 

試写会で観た感想

僕は12月2日に開催された「ユナイテッド・シネマ豊洲『海難1890』ターキッシュエアラインズ特別協賛試写会」に参加しまして、一足早く本作を観させていただきました!ターキッシュエアラインズの前身はトルコ航空。ターキッシュエアラインズは本作の公開に合わせて、イスタンブール~関西空港便で特別塗装機を運航させるなど、さまざまなキャンペーンも行っているようです。

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関連:映画「海難1890」:トルコ特別塗装機「串本号」関空に

2つの出来事を優しさで解決する人物たち

さて、『海難1890』の感想をお届けしたいと思うのですが、あまりストーリーに触れるとネタバレしてしまうので、魅力的な登場人物とキャストについて語ろうと思います!

主演は内野聖陽(うちのせいよう)。いや~、本当に不器用な性格とかモジャモジャ頭のキャラクターが似合う!『JIN -仁-』の坂本龍馬を演じた際の記憶が脳裏に焼き付いていまして、今回の『海難1890』でも坂本龍馬のような正義感が強くて優しい田村元貞を演じています。田村元貞は正確には“前半の主人公”というべきかもしれませんが、タダでも人のために最善を尽くすという無償の愛を提供する人だったんだな~というのがわかります。

口が聞けなくなった女ハルを演じたのは忽那汐里(くつなしおり)。ハルが勇敢で度胸あるな~と感じられるシーンが何度も登場します。後半のテヘランでは日本人学校の教師春海の2役を演じていますよ。幼さが残る見た目が可愛らしくて、まだ22歳なんだとか。

そして、前半ではエルトゥールル号に乗船していた海軍機関大尉のムスタファと、後半では駐テヘラントルコ大使館の職員であるムラトを演じているのがケナン・エジェです。おそらく、イケメンとはこういう人のことを言うんでしょう!大使館の職員の役なのにトム・クルーズを思い起こさせる革ジャンを着てるのは突っ込んではいけない(笑)

異なる時代に同じ出演者で両国の友好関係を演出

先にお伝えしたとおり、2つの時代が描かれていて、忽那汐里とケナン・エジェが演じるキャラクターの登場は2度あるんですが、個人的にはこういった方法は面白いなぁ~と思いました。きっと、作品中の1890年と1985年という異なるどちらの時代にも忽那汐里とケナン・エジェをそれぞれ出演させることで、現在のトルコと日本の友好関係のきっかけとなっている2つの歴史的な出来事はここで関連付いているんだなぁ~と観ている側に印象付けるようにしたんでしょう。

あと、大東駿介が演じる信太郎がちょこちょこイイ感じで場を温めてくれたり、ちょっとした話のアクセントになっていて、そこそこ良いキャラクターでしたね!

企画・監督は『利休にたずねよ』の田中光敏。また、脚本は『天地人』『利休にたずねよ』を手がけた小松江里子です。

日本での撮影ロケ地は実際の和歌山県串本町

ロケ地となったのは本州最南端の地、和歌山県串本町。エルトゥールル号が座礁したのはその串本町沖で、ロケは実際に同町で行われました。断崖絶壁のシーンも串本町なのかな。あそこへは観光客がドッと押し寄せるんじゃないでしょうか。

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(『海難1890』パンフレットより)

串本町樫野にはトルコ軍艦遭難慰霊碑が立てられていて、すぐ近くにあるトルコ記念館ではエルトゥールル号の模型や遺品、写真などの展示で当時の様子を知ることができるようになっています。なお、串本町はトルコのメルシン市と姉妹都市で、メルシンにも同じ慰霊碑があるそうです。

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『海難1890』はトルコと日本の関係を知るきっかけに

ちなみに、トルコで開催されたG20に先駆けて11月13日にはユルドゥズ宮殿でプレミアム上映回が開催され、安倍晋三首相とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、田中光敏監督らも鑑賞しています。

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現在、トルコ軍によるロシア軍の爆撃機撃墜、最大都市イスタンブールでのテロ、シリア難民の流入など、トルコはさまざまな問題が山積みで苦境に立たされています。暗い話題が続くトルコですが、『海難1890』を制作し始めたときにはこんな状況ではなかったはずです。今の僕たちに何ができることはないか?と口で言うのは簡単ですが、日本とトルコにどういった友好関係があるのか、まずは歴史的な背景を知るところから始めてもいいんじゃないでしょうか。

僕は『海難1890』を観て、和歌山県串本町の人々が一丸となってトルコ人を救出、看護する姿に日本人としての誇りを感じましたし、後半の特にラストのシーンなどから非常にトルコに親しみを感じました。試写会の場では周囲から鼻をすする人も少なくありませんでしたが、シーンごとのテンポも良く、最後まで飽きずに観ることができ、僕は感激しながらも普通に映画作品として楽しめましたよ。心温まる良い作品でした!

→ 『海難1890』公式サイト

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