2016年11月23日、ブログを使って地元の人々に自ら情報発信をしてもらおうと呼びかけるイベント「ブロガーサミット in 大台町」が三重県の南西部に位置する「大台町」で開催されました。
良いところはいっぱいあるのに、知名度はほんとに低い町です。僕は2016年の初めより、大台町で地域活性化のお手伝いをしています。どんなことをやってきたのかはこちらのレポートを見てくださいね。
3度めの訪問が11月に決まると、同時に大台町商工会が地元の三重県立昴学園高校を会場に「ブロガーサミット in 大台町」を開催することも決定。僕はそれぞれの分野で活躍する4名のブロガーに声を掛け、一緒にブロガーサミットへの登壇をお願いしました。高校生と町の事業者を対象に情報発信の大切さを語ってもらうためです。
【参加ブロガー/ブログ】
- ゆうせいさん/雰囲気で話す
- 中川マナブさん/東京散歩ぽ
- あかめさん/あかめ女子のwebメモ
- 奥野大児さん/明日やります
他人にとって何が面白いかは発信してみないとわからない
開催当日、フタを開けてみれば高校生、町の事業者、一般の方、役場の方、観光協会の方、地元議員まで、幅広い皆さんに来ていただき、僕たちの話を聞いていただきました。内容はブログの初歩的な話から、どうやってこの町のことを世の中の人に知ってもらったらいいかなどです。
ブロガーサミットで伝えたかったことは、町の魅力を伝えるのは僕たちじゃなく大台町に住んでいる皆さんだということ。
これはどの地域にも言えることなんですが、地元住民の皆さんにとっての“普通”の中には外部の僕たちから見たら“珍しい”とか“面白い”がたくさんあります。当たり前だと思っている情報は実はレアで、他県の人々にとっては貴重な情報だったりするんですよね。でも、その“当たり前”は外へ向けて発信しない限り他人に知られることはなく、その地域だけの風習で終わってしまいます。
もし、その情報を発信すれば他県の人にとっての“面白い”に変わり、“当たり前”がとんでもない価値を持つかもしれません。それは祭りだったり、郷土料理だったり、景色だったり、動植物だったり。そのために小さな町でも情報発信は非常に重要なんです。ウチの地域はお雑煮にあんこ入れるよ!とか。
ブログ活用している事業者はわずか2.8%という現状
商工会の資料によると、大台町ではホームページを持っている事業者さんはわずか11%。さらに、ブログをやっている事業者さんはもっと少ない2.8%しかいません。
また、ブロガーサミット参加者全体でアンケートをとってみると二十数名のうちTwitter・FacebookなどのSNS利用者はほぼ全員だったのに対し、ブログをやっている人はたったの3~4人でした。
大台町で最もブログを活用しているのは美容院「ユミー」を運営している佐藤祐基さん。コミュニケーションは普段からの得意技なので、街コンなどのイベント等で司会もやっているほど。今回のブロガーサミットではキャスターの西口茉実さんとともに佐藤さんにも司会をしていただきました。
佐藤さんはブログをうまく活用していて、ブログを見て来店したお客さんのうち8割が町外からの人なんだそうです。レトロでオシャレな雰囲気なお店でカットしたお客さんの写真をブログで紹介したところ、来店客が増えたと言います。こういう事例が増えていったらいいなぁ~。
移住や観光促進の前に、町の情報を充実させたい
当初、僕が大台町で地域活性化のお手伝いをすることになった際には移住者の誘致や観光客の増加を目的としていたのですが、次第に根本的な町の情報が欠如していることに気づき、大台町がどんな町なのかを世の中に知ってもらうための情報発信がメインの課題となりました。
町では柚子の栽培・柚子製品の開発に力を入れ、「柚子の町」とうたっていると伺いました。ところが、サミット参加者のほぼ全員がその現状を知らず、小さな町内でさえ共通の認識ができていないと判明したんです。確かに、地元の道の駅「奥伊勢おおだい」では柚子や柚子製品はほんの少ししか置いておらず、もうひとつの特産品であるお茶と比べると棚の幅もぜんぜん狭かったです。また、町が観光客を増やしたいのならこの道の駅を大幅に改革する必要があるだろうなぁ~と思う点も多々ありました。
さらに、特産品や事業者の情報を集めているうちに、取り組まなければならない複数の課題が浮上。もう役場や観光協会、商工会など、いろいろなところと連携してクリアしていく必要性が浮き彫りになりました。
地元企業と高校生が連携して町の情報を発信できないか?
すべての課題はここでは言いませんが、メインの課題はやはり情報発信。
自分ひとりで経営している事業者さんが仕事の合間にブログやSNSで大台町や特産品・サービスなどの情報を発信するのは難しいかもしれません。パソコンやスマホに慣れている事業者さんは全体的に非常に少ない印象でした。
そこで、大台町商工会ではスマホを比較的使いこなせる高校生に目を向け、ブロガーサミットをきっかけに地元の情報を発信してほしいと昴学園高校の学生たちに呼びかけることにしました。地域活性化のカギは地元に根付いた人による情報発信であると考えたからです。
日記でも要点を押さえて書けば有益な情報になる!
事業者と高校生を対象に、各自で開設したブログ・SNSを使って大台町の魅力をどんどん投稿してもらおうと、商工会主催のブロガーサミットに登壇した僕たちはブログの楽しさを語りながら、日記でも情報発信ができることを例を挙げて解説し、自らハードルを上げることなく気軽に情報発信をしましょうと呼びかけました。
これと決めたらこれしか書いてはいけない、そんな制約はブログのどこにもありません。ルールは自分で決めていいんです。やりたいと決めて始めたブログは書きたいことでいっぱいだったはず。日記だと次第にネタ切れになるかもしれません。
日記でも要点をしっかり押さえれば立派な情報記事になる!僕はそれを伝えるため、ブロガー5人での登壇とは別にブログ講座の時間を設けてもらい、わずかな時間ですがブログの書き方をレクチャーしました。
いつ、どこで、誰が、どうした、料金、特長、その結果どうなった、近くに何があるか、など。日記の中に細かい情報を足していくだけで、他人にとってありがたい情報になります。「他人はどんな情報が欲しいのか」を念頭に置いて記事を書けばわりと簡単にできちゃう!ブログでの情報発信はそれほど難しくないんですよ!
ブログは始めることよりも続けることの方が難しいです。長く書こうと思わず、2~3行でもいいから町の情報を発信しましょう!と。
僕は過去にも何度かブログ講習会などに登壇してレクチャーをしたことはあるものの、高校生を含め一般の方の前での講座は初めてです(いつもはブロガーに向けての講座でした)。なにせ人前でしゃべることが苦手で説明も下手なものですから、聞いていた方々にとっては理解しづらい点もあったかもしれません。。。
でも、言いたいことは言えたと思っています!それが大台町の皆さんに伝わったかはわかりませんが。
身の回りの情報発信者を応援してほしい
他人が自分のブログを読むときにどういった情報が欲しいかを意識してブログを書けば、日記でも情報いっぱいの記事になります。情報発信が圧倒的に不足している大台町に今必要なのは、日常のありふれた出来事を住人の皆さんが積極的にネット上へアップすること。っていうか、大台町は町そのものが面白くて魅力に溢れているんです!
例えば、宮川や大杉谷など大自然の話、全国でも珍しい全寮制公立高校での寮生活の話、農作物の収穫シーズンの話、柚子を原料にこんなものを作っている話、お祭りに参加した話、バスがどこまで運行しているかの話。ほんの10秒あればこれだけのネタ案が出せます。
サミットでも言いましたが、お前ブログなんてやってるのか!とバカにする友達もいるかもしれません。でも、やりたいと思って行動を起こしている人をバカにする方が間違っています。むしろ、皆で応援してあげましょう!ちょっとでもいいので協力してあげてください。もし自分の息子・娘がブログを始めたら、大人はそれをひとりの読者ファンとして応援してあげてほしいです。褒めて伸びる人はたくさんいますよ♪
町のブロガーを応援することは町の情報発信を手助けすることになり、将来的に特産品や観光、事業者、住民にとって絶対にプラスになります。公共施設の方や事業者さんは誰かがブログで紹介したいと申し出てきたら、ぜひ快く応じてあげてくださいね。
(大台町の観光パンフにも使われている旧領内橋から見た宮川の風景)
情報を発信していると、情報が入ってくる
「情報発信」「情報発信」と、つい繰り返し言ってしまっているのは僕の表現力が乏しいからです(^_^;) もっと良い言い方ができたらいいのですが。。。そんな僕でもこうやって8年半の間に5,200記事を書いてきたわけです。頭が悪くても情報発信はできます!
長くブログをやっててわかったことがありまして、情報を発信していると「あの場所も景色がいいのでぜひ行ってみてください」「こちらのラーメン屋もおいしいですよ」「こんな新商品を出します」と、読者さんやお店の中の人から情報をもらえるようになったんです。そう、情報が情報を呼ぶ好循環。ぜひ、大台町でもこういった良いサイクルが生まれるといいなぁ~と思います。
(体験民泊「みくり」は明るいご夫婦とおいしい料理で話題)
そうそう。情報を収集しているうちに町のここがこうなったらいいのになぁ~と気づくことがあります。その気づきは町づくりの重要な意見のひとつになるはずです。役場、商工会、観光協会、町議会議員、学生、事業者など、情報発信をきっかけに町がまとまれば、コミュニケーションから課題の解決に向けた道筋が見えてくるのではないでしょうか。あとは行動あるのみです!
年齢関係なくブログはできる!誰もが情報発信できる!
サミット終了後、高校生たちと記念に集合写真を撮影する機会があったのですが、「俺、アスカさんの前に行こっと!」と言って男の子が目の前に来てくれたのが嬉しくて、僕は「よし!じゃあ、横で一緒に写ろう!」と言い、まるで高校生に戻ったかのようなテンションで集合写真を撮りました。登壇前は、ブログの良さや情報発信の大切さが本当に伝わるのだろうかと心配で、サミットの場ではどうにか言いたいことを言おうと5人で登壇したのですが、なんだか彼らの笑顔を見てそれが伝わったような気がして緊張の糸が吹っ切れました。
撮影後も事業者の方や高校生が相談をしてきたり、今やってることを教えてくれたり。やる気に満ちた目をした人が何人もいました。このサミットが参加者のやる気スイッチを押せてたらいいな~と思います。
また、Facebookを見ていたら、あとからブロガーサミットの開催情報を知り、ぜひ参加したかったと言っている人が複数人いて、このようなイベントはもっともっと需要があるのではないかとも感じました。当日は大台町ケーブルテレビさんに取材していただいたほか、中日新聞には速攻で記事にしていただき、なんとこのブロガーサミットが新聞に掲載されました。Web版はこちらから読むことができますよ。
気がついたらずいぶん長いレポート記事になってしまった。。。これでも半分くらい削ったんですが(笑)
ぜひまた大台町へ行こうと思いますので、ブロガーサミットで相談しきれなかったことなどがありましたら、TwitterやFacebookで気軽にご連絡ください!アスカでした!