解説

沖縄にカジノを含む統合型リゾート(IR)、中身を知ったらギャンブル依存症の心配なんて全く不要だった

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カジノ運営が規制されている現在の日本。その一番の壁となっているのがギャンブル依存症の問題です。パチンコや競馬から抜け出せなくて人生を棒に振った人の家族が猛烈に反対していたりと、皆さんもよくご存知かと思います。

しかし、もし日本人ではなく訪日外国人観光客をメインターゲットとしたカジノリゾートを作り、そこで日本人がギャンブル依存症にならずに、インバウンド需要へ対応することによってたくさんの外国人が日本国内でお金を落とし、大きな経済効果を生み出すことができるとしたらどうでしょう?

2017年8月4日、世界トップクラスのインターネットカジノ企業である500.com社(500ドットコム)は沖縄でシンポジウム「カジノを含む統合型リゾート(IR)と沖縄観光の未来」を開催しました。

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国内では2016年12月にIR推進法が可決されたものの、沖縄ではまだIRに関するシンポジウムが開催されておらず、このシンポジウムをきっかけにIRの議論が活発化されることを期待して沖縄の地方自治体や企業、一般人向けに開かれたイベントです。

県民の所得の低さが課題となっている沖縄で、カジノを含む統合型リゾート(IR)が沖縄経済を発展させてくれるかもしれないという希望に満ちたこのシンポジウムを取材してきました。

カジノ解禁で一番心配なのは依存症であるとわかっている

日本でカジノがなかなか解禁にならない理由はその一番にギャンブル中毒が心配されているからです。現に、パチンコ、パチスロ、競馬、競輪など、ギャンブル依存症になってしまった人の家族が猛反対しているのを僕もテレビで見たことがあり、ギャンブルなんて自己責任とはいえ中毒になると怖いな~と見ていました。

しかし、500.com社の潘正明(パン・セイメイ)CEOははっきりと「ギャンブル依存症は防げる」と言っています。

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500.com社は中国の民間企業で唯一上場しているゲーミング企業。現在では135ヵ国を超える国でカジノゲームやオンラインゲームを提供し、登録ユーザー数は6,000万人以上、累計売上は3,270億円を超え、急速に頭角を表している企業です。

単に巨大な企業なだけでなく、ノウハウやセキュリティーに加え、ギャンブル依存症を防ぐための対策をビッグデータを活用して構築しています。例えば、プレイヤーの疑わしき行動や頻繁に大量の掛け金を実行するなどをよくある特定パターンを解析し、プレイヤーが中毒になる前にプレイを一定期間休止にしたり、永久的にプレイを禁じたりといった措置を取っています。

潘CEOは日本でカジノをオープンした際には、こうした同社のシステムを活用してギャンブル依存症を防ぐことができると言います。ただ、なぜかIR推進法はカジノ推進法だと思われているようで、どうしてもギャンブル依存症という負の部分だけが国民に伝わっているようなんです。

聞いてわかった「ギャンブル依存症」にならない環境であること

マスコミはIR推進法を「カジノ法案」と呼び、カジノに偏った部分にフォーカスを当てて報じています。皆さんも絶対にカジノ法案というニュースで言葉を聞いたことがありますよね。

IRの正式名称は「カジノを含む統合型リゾート施設(IR=Integrated Resort)」となっているように、そもそもは統合型のリゾート施設のこと。ホテルとかプールとか国際会議場とかそのなかに混じってカジノがありますよって程度。

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潘CEOは「IR法案が通った日本で、カジノ周辺の産業を刺激し、発展していこうというのが我々の目的。なかでも一番刺激を受けるのはホテルだ」とコメントしています。

2016年に沖縄を訪れた外国人観光客は800万人だそうです。しかし、同年にカジノのある中国の海南島(ハイナン島)、香港、マカオの3ヶ所を訪れた外国人旅行者は合計で1億1000万人に達するんだとか。

沖縄にIRがオープンし、そのうちの5%でも沖縄に足を運んべば莫大な経済効果が生まれるはず。しかも、沖縄は中国の主要都市から近く、マカオ、香港、シンガポールよりも有利な立場にあると潘CEOは言います。凄いポテンシャルがあるんです。

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日本政府はIRのカジノ施設へは外国人だけが無料で入場でき、日本人がカジノに入りたかったら入場料を取るという案が有力だそうです。また、潘CEOは有料のパスを発行し、すべての取引を記録する方法が良いとの見方を示しました。これらには日本人のカジノ中毒を防ぐ狙いがあります。

つまり、IRのカジノは気軽に入って遊べるパチンコや競馬とは大きく異なるということ。日本人は入場料が有料なので気分的に行きづらくなり、パスで取引を記録されるとなれば個人情報を気にする日本人は行かないでしょう。もうIRは外国人観光客のための施設だと思った方がわかりやすいかもしれませんね!

500.com社「沖縄や日本企業と協力して進めたい」

オンラインカジノを専業でやってきた500.com社。大型買収によってリアルカジノの運営ノウハウや信用力もあり、IRへの投資はかなり積極的です。

しかしながら、ホテル業やリゾートとなると話は別。同社は日本企業と一緒になってIRを進めて行きたいと考えています。

「IR周辺の産業をすべて我々でやるわけでなくて、ホテルやレストランをやりたい企業と組んで収益を分け合っていきたい。ホテルはカジノのあるホテルとその周辺のホテルと2種類あるが、我々の場合は完全にオープンな状態で、どちらも日本や沖縄のホテル業者と提携することを視野に入れている」

沖縄にIR。観光は?雇用は?どうなる?

では、本当に沖縄が立地としてIRに適しているのでしょうか?シンポジウムの後半に行われたパネル・ディスカッションでは潘CEOに加え、秋元司氏、小濱哲氏、笹川能孝氏が登壇し、沖縄でIRを誘致するために必要なことが論じられました。

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一般社団法人笹川経済支援機構(日本カッシーノフォーラム)の笹川氏は

「日本人の大人は大人の遊びを知らないし、そういう場所は日本にない。カラオケなど大人も子供も遊びに行く場所は一緒。沖縄は日本にいながら異国情緒があり、この魅力が無形の宝ということに中の人は気づいていないので、もっと観光につなげていけるのではないか」

と述べ、これはまさに灯台下暗しで、沖縄の人は沖縄の魅力を過小評価していると見ています。

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(笹川能孝氏)

実をいうと、IRに手を挙げるには都道府県もしくは政令指定都市クラスで申請が必要となるのですが、そもそも沖縄は現知事がIR推進法には否定的な見方をしていて、他県の方が積極的で勢いがあります。このことについて元沖縄県カジノ・エンターテインメント検討委員会委員長の小濱氏は

「沖縄はIRに有利だと思う。もともとリゾートや観光で経済が回っている場所なので、対応の仕方がわかっている。基本的なインフラもあるし、観光に対しての人材育成の仕組みが完成しているので他県よりも有利。また、人材の供給が一番強み。何か足す必要があるとしたら資本力。沖縄は自主経済が小さいので、外から人を呼んできて外の力を借りながら自分たちが豊かになる社会的な仕組みが今後求められるかなと思う」

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(小濱氏)

また、IR推進法について法律の審議を行った衆議院議員の秋元司氏(国土交通副大臣)は

「沖縄県がIRをやるなら県議会で過半数を取る必要がある。なので実現はなかなか厳しい。日本という国は何か新しいものをやるときには抵抗が強い。超富裕層を連れてくる人がカギになる。カジノ以外でも沖縄の魅力に触れたいと思ってもらうようにするといい」

とコメント。大阪や神奈川県、北海道など全国8ヵ所ほどがIRに名乗りを上げているそうで、そのうちの3ヵ所程度に認可が降りるんじゃないかと言われています。沖縄は出遅れているというか、スタートすらしていない状況です。聴衆の中からは「(IRに反対している)知事を辞めさせないとだな~」といった声もありました。

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(秋元司氏)

 

沖縄が受ける恩恵はデカい!

500.com社によるIRへの投資規模は1500億~3000億円を検討しているんだそうです。一社でIR全体の投資は可能ではあるものの、あえて投資額を抑えて日本の企業と手を組んでやってきたいと言い、継続的な投資をしていきたいと考えているとのこと。

僕はこのシンポジウムに参加し、カジノを含む巨大なリゾート施設が沖縄にできれば、県にとっても国にとってもプラスになりますし、何よりたくさんの雇用を生むことを理解しました。そして、沖縄の観光や飲食店、交通、お土産といった周辺の経済も潤し、沖縄県民にとってメリットが多い印象を強く受けました。

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IRの言葉を聞いてすぐにカジノか~と思ってしまう人はちょっと視野を広げて見る必要があるでしょう。海南島、マカオ、香港へ中国人だけで年間1億1000万人が訪れている現状から、沖縄のIRへも非常に多くの外国人観光客が訪れることは容易に想像できます。

そして、僕としてはIRが決して日本人のためのカジノ施設ではないことを知れたのは大きな収穫でしたし、参加した意義がありましたね。このことはもっと多くの日本人が知るべきです。

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