本日、12月12日、産経新聞がiPhoneとiPod touch用に、無料で産経新聞の朝刊全紙面を閲覧できるアプリをリリースしました。このアプリの登場で、今後はこのような無料メディアがどんどん登場する可能性があります。
そもそも、この産経新聞のアプリはiPhoneとiPod touch向けのアプリなのですが、毎日の朝刊を朝5時に配信し、それをiPhoneまたはiPod touchでダウンロードして閲覧します。ダウンロード中も閲覧できるのが良いですね。
画面いっぱいに新聞の紙面がそのまま表示され、二本の指で自由に拡大・縮小できるほか、全ページのサムネイルも表示でき、そこから見たいページを一気に表示することも可能です。
閲覧可能な内容は全紙面なので、1面から最後のテレビ欄、その間にある広告まで新聞そのものです!
しかも、無料。
今後、産経新聞は紙メディアを捨て、Web媒体に完全移行するのではないかと僕は考えています。
なぜなら、米国ではすでにそのような動きが進んでいて、先日の池田信夫さんの記事によると、
2008年11月25日に創刊100年となった米国の「クリスチャン・サイエンス・モニター」という全国紙が、2009年4月からWebだけの電子新聞としてやっていくと発表したのです。
その背景には、新聞の発行部数が最盛期の20万部から5万部まで落ち込み、2007年の決算では1890万ドルの赤字となったことが上げられます。
米国全土での販売を維持することができなくなり、それならばと、Web専門誌への転換を図ったようです。
株式情報誌を出している出版社で働く僕も出版不況を肌で感じていますし、業界紙である「株式新聞」も駅での販売をやめ、戸別販売のみに転換。また、Webでの情報提供に力を入れ始めました。
そのほか12月7日に報じられた、「ロサンゼルス・タイムズ」など新聞12紙やテレビ局23局を傘下に置く米トリビューン社の経営危機が記憶に新しいですよね。同社もインターネットの普及による紙媒体の不振や広告収入の減少が響いたとのこと。
このように、新聞・出版業界は今までのようなやり方では通用しない時代になってきているのです。
新しい設備を入れてコスト削減しようとしても、その設備を導入するほどの体力はすでに残っていない企業が大半を占めると思います。
一方、Web媒体への移行には比較的初期費用が少なくて済みますが、Webで提供するにはどれほどの視聴者数(PV)やアプリのダウンロード数があればいいのか未知数です。無料で提供するとなればなおさらですね。
しかし、指をくわえて黙っているだけでは、この状況を突破することはできません。今後、業界全体が多く動くことになるかと思います。無料のWeb新聞などは2社、3社とすぐに登場することでしょう。数年前のフリーペーパーラッシュのようなことが懸念されますが、媒体がWebになることで印刷・配送コストが不要となります。多少、広告収入が減ったとしてもやっていけるかもしれません。
みなさんもTwitterを見ていれば感じたと思いますが、新聞が全ページ無料でiPhoneで見られるというのは多くの人にとって衝撃が走っていたようですし、実際にたくさんの人が驚いていました。
このブログエントリーを書いてて思ったのは、とにかく今はチャレンジするときなんだな、と。何もしないのはダメ。きっと大丈夫ではダメ。どこかの会社がやったからウチもやるではなく、こちらからどんどん新しいことをやっていかなくてはいけないのだと感じました。