2011年8月23日、東京証券取引所に日本初となる『ETN(Exchange Traded Note)』が2銘柄上場しました。
ETNとは、上場投資証券や指標連動証券とも言われ、『ETF(上場投資信託)』に似た投資商品で名前も似ていますが、株価指数や原油などの商品価格、新興国市場や通貨、金利、ボラティリティ、投資戦略価格などの「特定の指標」に連動する投資商品です。
ETFとの違いは、直接投資家には関係ないですが、ETFは裏付け資産として現物資産(株や資源など)をファンドが保有している必要がありますが、ETNの場合は証券会社や銀行側が対象指標との連動性を保証するため現物資産を保有する必要がありません。
株みたいなものなんですが、っていうか、何を言ってるかサッパリわからないですよね?
しかし、ググるのはまだ早い。
AKBの人気を売買する
例えば、「AKB48 指数」みたいな指数があるとします。世の中でAKB48の人気が高まると上昇、人気がなくなると下落する指数です。指数って日経平均みたいなものです。
その「AKB48 指数」の上昇・下落とともに価格が変動するETN『AKB48 ETN』が証券取引所に上場したとします。すると、株を売買するときと同じように『AKB48 ETN』を僕たち一般投資家が買えるようになり、ある程度上昇したら『AKB48 ETN』を売って利益をゲットする、みたいなことができるんです。
でも、アイドルグループのAKB48を手元に(裏付け資産として)保有しておくことなんて、ファンドでもできませんよね。
そういうモノとして保有するのが困難なものを投資商品にできるのがETNなんです。
つまり、AKB48だったり、景気の良し悪しを表した指数だったり、半導体・メモリーの価格だったり、そういうものに連動したETNとかが生まれ、売買できるようになる可能性があるということなんです。
今回は2銘柄のETNが上場
今回、東証に上場したのは、
- 「iPath 商品指数連動受益証券発行信託」(証券コード:2021)
- 「iPath VIX中期先物指数連動受益証券発行信託」(証券コード:2029)
の2銘柄。
何度も言うように、ETNは株と同じように売買でき、証券会社に口座があれば売買できます。
上記のようにちゃんと証券コードもありますしね。
Yahoo!ファイナンスで「2021」と入力してみればわかります。
ETFと比較して、ETNは「トラッキング・エラー」がないという特徴もありますが、初心者にはよくわからないです。まぁ、連動してる指数と価格の差が開くようなことがない、くらいに思っておけば良いでしょう。実際は手数料分の差が開いているとのことですが。
また、税制面でも、通常の株と同じ優遇税制が適用されます。
リスクについて
投資にはリスクがつきものです。
ETNは「債券」ですので、金融機関の信用力がキモになってきます。今回の場合、このETNを組成した英金融大手バークレイズが倒産したり、財務状況が悪化して価格が下落したりして、価値がゼロになるリスクが可能性としてあります。
ですが、8月22日に僕が参加してきた『ETN[iPath] 上場前夜祭』では、パネルディスカッションしていた東証の方によると、バークレイズは世界の中でも数少ない信用力のある金融機関であり、しかも、上場基準を高めに設定した中でクリアできた、とのことです。
「iPath」って?
「iPath」というのはETNの中のバークレイズが作ったブランドです。銘柄名の頭に「iPath」が付いています。今回は2銘柄が上場しましたが、9月6日にも7銘柄が上場し、9銘柄となります。
「iPath 商品指数連動受益証券発行信託」はS&P GSCIRトータル・リターン指数に連動、
「iPath VIX中期先物指数連動受益証券発行信託」はS&P 500 VIX中期先物指数トータル・リターンに連動します。
商品っていうのはいわゆる「コモディティ」のことで、原油とか金とか小麦とか。今だと金の価格が上がってたりしますよね。それらの商品の総合的な指数がS&P GSCIRトータル・リターン指数です。
S&P 500 VIXというのはボラティリティ指数で、「恐怖指数」とも言われるもの。投資家心理を表すもので、相場の先行きに不安が生じたときに数値が大きく上昇します。
特に後者の「iPath VIX中期先物指数連動受益証券発行信託」は「恐怖指数」に連動することから、今のように株式市場が急落してるようなときには上昇しやすいんです。感覚でいうと、株式市場全体の相場は悪いのに、このETNの価格は上がるってことです。
以上が「ETN」についての説明だったのですが、なんとなくわかってもらえたでしょうか?
本当は3倍近くまでレバレッジを効かせたり、信用取引でなくとも売りから入ったり、といろいろなこともできるのですが、個人的にこれがETNの特徴かなと思ったものを取り上げてみました。
普段から投資に慣れている人はすぐに理解できるかと思います。そうでない人は、いろいろと他人から聞いて投資の知識を得るのもいいのですが、やはり自分自身での勉強も必要でしょう。
投資の裾野が広がりそうなETN。1つの投資商品としての魅力は十分にあると思いました。
■バークレイズ・バンク・ピーエルシー、日本初のETN(指標連動証券)を上場 ~バークレイズiPath シリーズ~
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