目で楽しむ、香りで和む、舌で味わう。そういった表現をするのが間違いなくベストであろう西洋料理レストラン「セララバアド(Celaravird)」は東京・代々木上原駅から徒歩10分程度の高級そうなマンションが並ぶ住宅街のド真ん中にあります。
2015年2月3日、このセララバアドを会場に第4回トレタグルメ倶楽部と称した食事イベントにご招待いただきまして、モダンガストロノミーを味わえるセララバアドのコースメニューをがっつりいただいてきました。
自然の食材を変身させ、あっと驚かせてくれる
モダンガストロノミーとは究極的に調理と食事の楽しさを高めるための研究に、自然食材の探求を併せたもの。セララバアドでは高級なイメージがあったガストロノミーに自然食材の要素を取り入れ、また、より多くの人に楽しんでもらいやすい料金で提供しているのが特徴の1つとなっています。
参考:科学と自然が融合したモダンガストロノミーを味わえる店が代々木上原にオープン!その名も「セララバアド」だ! – TORETA(トレタ) ブログ
店にはたった1つのコースメニューのみ
セララバアドのメニュー(2015年冬バージョン)はコース1種類しかなく、他のメニューは一切ありません。価格は6,800円で、ワインなどを飲んでも1万円でお釣りがくる。
シェフ橋本さんは前職でマンダリンオリエンタル東京でタパス モラキュラーバーの料理長を務めており、2014年レストラン世界ランキング1位であるデンマークのnomaを経験するなどといった経歴を持っています。
このあと僕達は、橋本さんに1つ1つ料理を出していただく際に特徴を説明していただきながら、一体この料理はどうなってるんだ!?という謎を解くことになります。
テーブルにはナイフはなくお箸、フォーク、スプーン。うどんをこよなく愛する僕としてはなんとなく安心感を覚えます。
テーブルのすぐ近くにオープンキッチンがあり、調理の様子を楽しめるのは非常にワクワクしますね。カウンター席なら目の前で見られるので、2人で来店した際にはカウンター席が良いかも。
広島を含むさまざまなワインが用意されていて、奥には生ハムの原木。
あぁ、早くこれを食べさせて~!と思っていたら、思いのほかすぐに運ばれてきました。
北海道で森の中で泥だらけになりながら放し飼いされてる豚の生ハム。
ダッチオーブンで焼いたパンに生ハムを乗せて一口かじり、スプーンに載ったゼリー状のオリーブオイルをいただきます。
これがシャンパンにピッタリ。残った生ハムは普通に食べる。
ゆっくりと香りとビックリのコースメニューを味わう
ここからが本当のコースの始まり。同時に、驚きのジェットコースターが動き始めました。
まずは「霜柱」。
なんですかこれは!
いきなり衝撃的なメニュー。泡です。そして、薄い板。
なんと、この泡は海藻から作った泡で、薄い板は“クリスタル”と呼んでいるポテトチップスなんだそうです。
海藻の泡にクリスタルなポテトチップスを付けて食べます。
パリパリっと食感は確かにポテトチップス。程良い塩気もあって、見た目と名前からは想像できない霜柱でした。
キッチンを見学していると、どうやら次も謎の料理が出てきそうな予感。
「トピナンプール」。
西洋の菊芋(キクイモ)だそうです。外はこんがり焼けていて香ばしい。スプーンですくって、お好みで塩やソースで食べます。菊芋は初めて食べたのですが、塩が一番合っているように感じました。
3つ目の料理はすぐに食べるのがもったいないほど目を楽しませてくれる芸術的な「根セロリ 折り鶴 柚子」という料理。
どうですか、この根セロリから作った折り鶴!口に入れるとパリパリという食感と確かにセロリの香りが広がります。
そして、こちらのホロホロ鶏のフォアグラは手に入ったときにしか出すことができないメニュー。キノコと生姜と赤ワインのソースが味を引き立て、フォアグラの風味もしっかり。
このときに飲んだ白ワインが広島三次の「TOMOEシャルドネ・リザーブ」。フルーティーな味わいで飲みやすく、2度いただいてしまいました。
続いて、まるで“畑をそのまま”調理してしまったかのような料理が。その名も「早春の大地」。
どの野菜も小さく、そのせいなのかどれも甘みが強い。可愛い見た目に女性なら大はしゃぎしそうですね。
「才巻海老のカルドッソ 菜の花」。カルドッソとはリゾットのこと。
エビは頭だけが揚げてあり、身は生。エビのイイ香りが!!食べてみると、サクッと歯ごたえが気持ち良く、この頭がおいしかった!緑は菜の花のソースです。
続いて、話題のエスプーマ料理の「ゆり根 トリュフ」。
泡を楽しむ料理で、トリュフの香りが心地いい!スープ感覚でいただきます。ポタージュにも似た甘い味です。
何やらキッチンの方で炎の音が聞こえると思ったら、煙が立ち込めていました!
管の先が瓶につながっていて、炎の煙を瓶の中に閉じ込めているみたい。
これは「カレイ 蕪 スモーク」。先ほどの炎は瓶の中の食材を瞬間的に薫製にしていたのです。
カレイも蕪も他の野菜も、口に入れると燻した香りがふわっと鼻に伝わり、不思議な感覚になる料理です。僕はこれが一番気に入りましたね。もっと食べたかった!
そして、こちらは「ホロホロ鶏 バースニップ 葉玉ねぎ」。
やわらかくて、しっかりとした味。ボリューム感のある肉は満足感があります。
1切が一口サイズになっているので、箸でパクっと食べられちゃう。うまい。
再び、キッチンでエアーの音が聞こえたので見てみると、どうやらデザートをエスプーマで作っている様子。
これは期待!
登場したのがこちら。「冬の湖」です。
表面は薄く伸ばした飴で氷を再現した湖の水面。美しすぎます!
割ってみると、中にはベリーとカスタードのエスプーマが!
ふわふわのカスタードと飴の甘さをベリーの甘酸っぱさが引き立てます。見た目もビックリしたし、こんなデザートは初めてです。
ラストはもう1つ。小さな4つのデザートです。左から「京人参のマカロン」「フィジーチョコ」「ラズベリーソーダ」「オリーブオイルグミ」。
オリーブオイルグミなんて名前からして凄いんですが、僕が最も驚いたのがフィジーチョコ。外見では想像できないと思いますけど、中に炭酸のように粒が弾ける仕掛けがしてあって、口に入れるとパチパチ、シュワシュワするんです!
チョコの甘さとパチパチが楽しいフィジーチョコで締めくくり、僕は最初から最後までセララバアドの出す料理に驚かされてばかりいましたね。
小さなレストランだけど強力なパワーを感じるお店
さて、料理の感想を長々と書いてしまいましたけど、お店の情報についてはまだでしたね。
セララバアドの席数はそれほど多くはなく、最高14人まで利用できる感じです。オススメはカウンター席。シェフたちの調理の様子が見られて楽しいです。
ディナーの営業時間は19時からで、ちょっと早めの18時30分くらいから入れます。正直、住宅街のわかりづらい場所にあるので、先に素敵なソムリエさんが選ぶワインでも飲みながら、道に迷って遅れてくる他の参加者を待つのがいいかと思います。定休日は毎週月曜日と、月に2回くらいどこかが休み。春になるとテラス席も用意するようです。
2月は予約がいっぱい
実を言うと、セララバアドは2015年1月にオープンしたばかり。2月の予約状況はもう満席なんだとか。すごいなぁ。
よくオープン直後で話題になっている料理店ってやっぱり注目度が高いですから、みなさん電話で問い合わせや予約を入れてくるため、お店側が対応しきれないんだそうです。
そこで、セララバアドではiPadを活用したオンライン予約システム「トレタ(TORETA)」を導入。シェフの橋本さんのお話によると、予約のほとんどがトレタ経由で入ってきているそうです。
お客さんにとって、お店の予約専用ページがあると電話をかける煩わしさがなくなるので、トレタのようなネット予約システムは非常に便利なんです。
デートや夫婦の記念日にも使えそうなお店です!
食事を終えて振り返ると、料理を見て食べてこんなに面白いと感じたのは初めてだったかもしれません。
他のレストランでは見た目が豪華とかキレイっていう料理はありましたが、見た目だけでなく食べてみたら面白かったのはセララバアドだけだったと思います。これは大切な人とゆっくり楽しむお店として利用したいなぁ。
最後にもう1度言うと、僕が一番気に入ったのは「カレイ 蕪 スモーク」です。
【セララバアド】
営業時間:ディナー18時30分~23時(要予約)
定休日:毎週月曜日とそのほか月2回休み
※ランチ営業も計画中
場所:東京都渋谷区上原2丁目8-11 TWIZA上原 1階(地図)
最寄り駅:代々木上原駅 徒歩8分、代々木八幡駅 徒歩8分