地上波アナログ放送が主流だった時代に、シャープの地デジに対応した大型液晶テレビを80万円で購入した僕の父。昔からテレビやビデオが好きで、肩に乗せるタイプのビデオカメラから編集機材なんかも揃えていました。
実家では家族の各部屋にテレビがありながらも、壁に設置した大型テレビのあるリビングには家族みんながだいたい集まって番組を見ることが多かったです。
そんな家庭に育ったためか僕も映像関連への興味がハンパなく強くて、就職と同時にアパートで一人暮らしを始めたときに地デジ放送をどうしても見たくて、地デジがまだ普及初期だった時代にシャープの32インチ液晶テレビを購入。フルHDではなくHDのものだったのですが、それでもキレイな映像に毎日テレビを見るのが嬉しくて仕方がなかったのを覚えています。
時代はフルHDから4K時代に突入。そして、もう来年2018年12月には一気に8Kの実用放送もスタートします。う~ん、本当に8Kの時代が来るのでしょうか。
AQUOS 8Kを知る!トークショーを取材
2017年9月15日、KADOKAWAが主催する“新『AQUOS 8K』体験&トークショー”が開催されました。
世界初の8Kディスプレイを2011年5月に開発したシャープはついに一般向けの8K対応テレビ「AQUOS 8K LC-70X500」を2017年12月1日に発売します。
トークショーに登壇したシャープのTVシステム事業本部国内事業部8K推進部長の高吉秀一さんは
「2018年の12月には8Kの実用放送の開始と4K放送で複数の番組が始まってどんどん普及していく。8KはNHKで始まり、8Kの番組が家庭で見られるようになる。先の話じゃなくて、もう1年しかない」
と言います。経済ニュースでご存知の人も多いかもしれませんが、世界規模で行われるようなスポーツ大会などを観戦するためにテレビを買い換えようという人はわりと多いようで、テレビ業界からも熱い視線が注がれています。
え~、4Kとか8Kとかそんなに高画素なテレビなんていらないよ!という声もあるでしょうね。しかし!一度キレイな映像に目が慣れてしまうともう以前の画質には戻れなくなるのはよ~くわかっています。
それはBlu-rayに慣れてしまった自分が一切DVDを見なくなった経験から言えます。DVDのHD画質でも十分にキレイだと思っていたのにBlu-rayのフルHD映像を見たらDVDすら汚いと思ってしまったんですね。YouTubeもそう。480pの映像でなんて絶対に見たくないし、やっぱりフルHDで見ます。それらの経験が証明していて、僕は4Kや8Kに慣れたら絶対にフルHDの映像を汚いと思ってしまうのは間違いありません。
2K(フルHD) | 4K | 8K | |
---|---|---|---|
解像度 | 1,920×1,080 | 3,820×2,160 | 7,680×4,320 |
画素数 | 約207万 | 約829万 | 約3,318万 |
僕たちが普段見ている地デジやBlu-rayの映像がフルHD(約207万画素)ですから、8K(約3,318万画素)だとその16倍もの美しい映像ってこと。凄まじいです。
このイベントのスペシャル司会として登壇したSKE48の松村香織さんは
「演者としては8Kは出てほしくない。地デジになったときからそうですよ。ふんわりフィルターみたいのをかけたいですもん!」
と、8Kになってより高精細になったテレビでは今まで以上にはっきりと肌の様子が映し出せるため、映る側としての心配をしていましたよ(笑)
8K&HDR、何がどうなる?
ドラマやスポーツ、アーティストのライブ映像が8Kで放送されたら、これまで見えなかった服の素材や風景など映像内の細かい部分まで見えるようになります。
8Kの映像を8Kで表示できるということは
- 解像度が高いのであたかもその場にいるような臨場感を感じられる。
- 実物感がある。8Kの解像度があれば実物相当の映像を出せる。解像度についていえば16Kではなく、8Kがゴールだと考えている。
- 立体感。奥行きを感じられる。
- 8Kのカメラと8Kのテレビを組み合わせれば、今までみえなかったものがみえる。筆のタッチや素材の質感なども確認できる。
と、高吉さんは説明。その後の8K作品『LUNA』を見たら一目瞭然だったのですが、女子高生のサラサラの髪が1本1本見えるし、夜空に広がる細やかな星が美しいし、教室の映像はこれまで表現できなかった奥行きが感じられました。
「AQUOS 8K LC-70X500」は既存のフルHD画質や4K画質の映像を8K解像度にアップコンバートして表示可能なので、例えば8Kじゃなくてもキレイなコンテンツを大画面で楽しむことができます。
さらに、「AQUOS 8K LC-70X500」は解像度が向上するだけでなく、HDRにも対応しています。HDRとは「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の略称で、映像の明るさ(輝度)をこれまでのSDR(非HDR)と比べて大幅に表現できるのが特長。明るい所は明るく、暗い所は暗く表現できます。HDRに対応した番組や映像では太陽光の眩しさや洞窟内の暗さを感じられるなど肉眼に近い映像を楽しめます。
HDRの対応プレイヤーは各メーカーのBlu-ray・UHD Blu-rayプレイヤーがあったり、ソニーの「PS4 Pro」がHDR表示に対応しているほか、Appleが9月22日に発売する「Apple TV 4K」もHDRに対応。もはや一般的な存在になっていますよ。
映像クリエイターが語る8K・HDRの魅力とは?
さて、実際に8KやHDRに対応するテレビが登場しても、8K用の番組や映像コンテンツがなかったら意味がありません。そんな映像制作側のクリエイターさんにとっては8KやHDRにどのような魅力を感じているのでしょうか。
8K・HDRの実写オリジナルムービーや人気アーティストのMVを手がけ、8K・HDRコンテンツ「LUNA」の監督である池田一真さんと、映像企画のプロデュースを行い、「LUNA」のプロデューサーである株式会社ロボットの諸石治之さんを交えたトークが行われました。
自然やお祭り、スポーツなどノンフィクションの8Kコンテンツはたくさん作られているものの、フィクションの8K作品はまったく存在していませんでした。そこで池田さんと諸石さんが制作したのが8K解像度でかつHDRに対応した実写ドラマ「LUNA」です。
この「LUNA」をシャープの8K対応液晶テレビ「AQUOS 8K LC-70X500」に映し出しながら会場のみんなで視聴しました。
月明かりや教室に差し込む日光のふんわり感がすごく、肌の様子が細かいところまで見えるのはさすが8Kならではの細かな描写です。男子高生と女子高生が学校の屋上で星空を眺めるシーンでは、特に星の映像に高精細さが感じられました。スロー映像のときにはふんわり揺れる女子の髪が細かいところまで表示できていたし、ラストの星空タイムラプスのシーンは溜め息モノ。
映像が美しいと物語への没入感を与えてくれることがわかりました。ストーリーそのものに引き込まれる感じ。これは本当にすごい!
池田さんはHDRとSDRの違いについて、
「光と色の表現が圧倒的に違うと思う。解像度ってことよりもHDRで描き出される人物の存在感に驚いた」
と言います。また、実際のコンテンツ制作については
「演出で見え過ぎたくないし色を出しすぎたくないときに、現場で肉眼で見た状態で作り込んでそこで完成するってくらいまでやらないと難しい。最初の学校のシーンは現実的な色にして、だんだん現実っぽくない色へと出し方を調整していった。色は今までの考え方だと恥ずかしいなと思う色(高い彩度など)にも挑戦していった」
と、今まで誤魔化していたことが誤魔化しきれなくなったことへも言及し、8KとHDRで映像制作した際の苦労話を聞かせてくれました。
一方で、新たな挑戦としての楽しみや映像表現の可能性が広がったことへの期待もあります。
諸石さんは肌の質感や動きの滑らかさ、着ている服の素材までリアルに映し出せると評価し、
「作りながらスタッフと話していたんですが、8Kって奥行き感がすごく表現できる。8Kの情報量やHDRが組み合わさると空間がそこにできて面白いなと思った」
と、新たな映像体験を提供できることへのワクワク感を語りました。
シャープの高吉さんは2018年12月にスタートする8K実用放送に先駆けて、予想外の動きもあったと言います。
「来年(2018年)に放送が始まるので1年早く製品を出そうと思っていたのだが、想定していなかったこととして市販の最新一眼レフデジタルカメラで一般の人が8Kの高精細なタイムラプス映像を作れるとか、8K解像度に対応したゲームが2018年にリリースされるとか、いろいろな8Kのコンテンツがもう出てくるということで、我々のテレビが多くのお客様に使っていただけるんじゃないかと。想定していたよりも早く8Kの時代がやってきた」
と、個人で8K映像を作れたり、8K解像度のゲームが発売されたりと、まさに8Kの時代が到来したことを興奮気味に語っていました。
僕らのような見る側の人間にとって、汚い映像よりも美しい映像の方が良いに決まっています。それは高精細で色鮮やかなという意味にとどまらず、自然そのままの色だったり、制作者の意図する画をそのまま映し出せることだったりと、真の意味で美しい映像の描写が可能な8KとHDRに対応した「AQUOS 8K LC-70X500」はほんとに夢のようなテレビです。
8Kテレビを家庭で見るために必要なものは?
そして、それは決して遠い未来の夢物語ではなく、シャープの「AQUOS 8K LC-70X500」は今年の12月1日に一般発売されるというのだからヤバイ。この原稿が公開されるころには発売まで残り10週間のカウントダウンを迎えている頃でしょう!!
しかも、価格は100万円と割安。2015年に発売された業務用の8Kディスプレイは1,600万円もしていましたから、家庭用の「AQUOS 8K LC-70X500」はかなり頑張った価格と言えます。70インチ、8K、HDRに対応しながらも、100万円ですからね。
実際に8K放送が始まった際には視聴用の8K放送対応受信機が別途必要になります。まだ価格は未定とのことですが、現行の地デジチューナーの価格から想定するとそう高くないものになるんじゃないかと勝手に予想しています。
また、たとえ8K放送を見られなくても、現行のデジタル放送(地上・BS・110度CS)のフルHD映像や4K映像については8Kの高解像度にアップコンバートして表示できるので、それだけでも「AQUOS 8K LC-70X500」は十分なメリットがあります。
(「AQUOS 8K LC-70X500」リリース画像より)
8Kテレビに会場全体が興味津津に!
トークショーのあとにはシャープの担当者さんやクリエイターのお二人に質問が殺到。また、画面をのぞき込んだり、テレビの裏側を見たりと、会場にいた多くの参加者がAQUOS 8Kに興味津津な様子でした。
このイベントを通じて8Kの良さや「AQUOS 8K LC-70X500」の特長を知ったSEK48の松村香織さんは
「8Kがすごいとわかったし、私の家のは18インチの2K(フルHD)なので、これをきっかけにしていつか買い換えられればいいなと思った」
と、率直に欲しいオーラをアピール。このテレビが本当に12月には世の中に出るのですから、みんな興奮していましたよ!
海外からの視線も熱そうだし、それに日本ではちょうどボーナスが出るシーズンでもありますから、8Kを先取りしたい人にとっては絶好のタイミングでしょう。おそらく、家電量販店では近く展示が行われるんじゃないかと思っているので、ぜひ実物を見てみてはいかがでしょうか。
シャープでは8Kのことがよくわかるスペシャルサイト「8K beyond the reality」を公式サイトで公開中です!こちらもぜひチェックしてみてくださいね。