三重県大台町

木を知り尽くし熱い心を持つ職人、三重県大台町の廣田利夫さん(ウッドクラフト廣田) #大台町PR

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「買った人が他人に自慢できる物を作らないとダメ」

そう僕たちに語ったのはウッドクラフト廣田の代表・廣田利夫さん。三重県大台町で60年以上大工として働き、今では大台町で木工製品の職人として有名な方です。

日本一の清流・宮川が流れる大台町の人々はこの地の木を「奥伊勢ひのき」「大台杉」などと呼んでいて、古くは林業に従事する人が多かった町です。今ではすっかり林業が衰退し、木工製品を手掛ける職人さんも減りました。

プライドを持って木工製品を作り続けている廣田さんは世の中には東南アジア製など安くて気軽に買える木工製品が増えてきている一方で、消費者は価値あるものを求めているとし、職人は時間をかけてより良いものを作らなければいけないと言い続けているひとりです。

「簡単なものなら誰でも作れる」「手間をかけないと木工の良い物はできない」と、言葉のひとつひとつから重みを感じたのは廣田さんが生み出す作品のクオリティの高さを見ても納得できます。


(ウッドクラフト廣田の代表・廣田利夫さん)

2016年7月に大台町を訪れた僕はウッドクラフト廣田を取材させていただき、作品の細かいところまでこだわる廣田さんの姿勢や実際の作品を拝見させていただきました。当ブログ読者のみなさんにもぜひこの職人魂を知ってもらいたいな、と思ったのでご紹介したいと思います。

 

丁寧な仕事がわかる、気持ちの込められた作品たち

インタビューをしながら作品を見せていただいたんですが、まず驚いたのがこちらですよ。自転車のレースで有名なツール・ド・フランスで使う信号旗です(写真は試作品)。

持ち手に丸みをもたせ、三枚の合わせ板で作った信号旗。これを見たフランスの関係者はとても感動してくれたんだとか。14枚ほど作って納品し、廣田さんが作った信号旗は実際にレース会場で使用されました。(試作段階の品なので実物とは異なります)

また、こちらは打出の小槌。

回転させながらサンドペーパーで削り、最後に目の細かい400番のサンドペーパーをかけるとそれだけで木がピカピカになって、キレイに反射するんだとか。研磨技術の高さって日本の職人だな~という感じがしますよね。なかなか機械で全自動ではやれない作業です。

言葉ではわかりづらいだろうと、角材を丸く削っていく作業を見せてくださいました。木材を回転させて丸い刃で削る。

あっという間の出来事だったので、ビックリしました。

作品の値付けの話がすごく面白くて、例えば先程の打ち出の小槌を2,000円に設定して販売するとこれを買ったお客さんは畑の杭打ちに使用し、8,000~10,000円とかで販売するとインテリアの飾りとして使うんだそうです。実用性のあるものを実際に使うか、観賞用として飾るか。

作品として販売している廣田さんとしてはもちろん後者の方が嬉しいので、高価でもお客さんに買ってもらえるよう作品のクオリティを上げるためこだわりを持って頑張っているんだそうです。恥ずかしくて見せられないような作品は作りたくないと言います。

工房には出荷待ちのたくさんの作品が並んでいました。

 

 

 

 

正直、こんな凄いのをよく作れるな~とため息。ただただ凄いと言うだけしかできませんでした。

廣田さんが木工製品を作るようになったきっかけは何だったのでしょうか。尋ねてみると、大工として建築の仕事をやっていたときに、地元の宮川役場(多気郡大台町と多気郡宮川村は合併して現在の大台町になった)から依頼されて学習机と椅子を作って展示会に出展したところ、買い手が現れたんだそうです。その後も試しに作ったものが次々と売れ、建築の製材もやっていたので資材はいくらでも手に入ったからログハウスも勢いで作ってみたらそれも売れた。こういったことを背景に木工作品で人々に価値を提供することに目覚め、同時に、喜んでもらうために良い物を作ろうと職人の道を進み始めたのです。

 

町全体で木工の町にしていく

大台町には「奥伊勢ひのき」「大台杉」といった品質の高い木があります。しかし、ブランドとしての知名度は低く、林業は衰退しつつあり、せっかく良い木があるのにうまく活用しきれていません。これらの木を守るには木を使うことが必要です。需要を開拓し、林業が元気になれば町も潤います。

では、ブランド木材として大台町の木をどう見ているのか。廣田さんは「みんなで話し合って、意見を共有すれば木工の街になると思う」と、まずは大台町が木工に力を入れるべきと言います。職人が増えても、質の低い木工製品を生み出していては人々に評価されません。ひとりひとりの意識とともに、みんなで木工の町を育てようという気持ちで具体的に行動する必要があるんです。その点、廣田さんはひとりで製作していますが、全国のお客さんからしっかりと評価される作品を作っています。これを町全体が評価されるようにしなければなりません。

自然の豊かさを評価され、町全体がユネスコエコパークに認定された大台町。どうしても日本一の清流に選ばれた「宮川」ばかりに目がいってしまいますが、町ぐるみで木工製品を盛り上げていこうという行動は今後も継続的に必要なのではないでしょうか。

 

職人・廣田さんの言葉には重みがある

先日、NHKで奈良県・法隆寺の真柱は間違いなく大台町の檜を使ってるとの検証番組が放送されました。これをうまいこと利用し、廣田さんのところへ作品を見に来たお客さんに「これ、法隆寺にも使ってる木と同じ仲間なんや!」と言って話をすると喜んでくれるんだそうです。自分の町(大台町)の情報に対して敏感にアンテナを張り、それをうまくトークや販売に活かす。これってどの業界にも使える大切なことだと思います。この取材中、僕はメモしっぱなしでした。

今回、廣田さんにはかなり長い時間お付き合いいただき、取材させていただきました。広い作業場にはたくさんの機械が並び、ここで常に作品に没頭しているご本人の口から聞いた言葉は非常に重みがあります。素晴らしい作品を世に生み出し、こんなにもこだわっている人が大台町にいることがわかりました。そして、温かいんですよね。ひと言ひと言に愛が感じられます。この町が、木工が、すごく好きなんだな~というのが伝わってきました。これまでもいくつかレポートを書いていますが、大台町はほんといい人がたくさんいますよ。

ツール・ド・フランスで採用されるほどの素晴らしい作品を生み出し、魅力ある製品を次から次へ作り出す大台町の職人、廣田さん。この地の木のことなら俺に任せろ!と言う木工職人や林業の達人がどんどん増えてほしい、それが廣田さんの望んでいることだそうです。

【ウッドクラフト廣田】
電話番号:0598-76-0767
住所:三重県多気郡大台町天ケ瀬209番地
サイト:ウッドクラフト廣田 | 松阪牛だけじゃないよドットコム

そのほか、三重県大台町の情報はこちらもどうぞ♪

 

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