2015年12月17日、新宿ロフトプラスワンにてマンガ作成ツール「コミPo!」発売5周年イベントが開催されました。
「コミPo!」は3Dキャラクターに自分でポーズを付けて、セリフを付けるだけで簡単にマンガが作れるパソコン用ソフト。
ご縁あって、2013年にこの「コミPo!」を開発しているウェブテクノロジ・コム社を取材したことがあったのですが、その際にはイラストが描けない僕のような人間でも簡単にマンガが作れることを身をもって体験しました。(ストーリーのクオリティは突っ込まないでくださいw)
関連:マンガ作成ソフト「コミPo!」が使いやすい理由を聞いてきた! – ウェブテクノロジを取材してわかったこと
今回、ウェブテクノロジ・コムの大和さんからお誘いいただき、「コミPo!」発売5周年イベントに参加してきました。“すべての人にマンガ表現を”という思いから生まれた「コミPo!」を祝おうと、会場には多くのユーザーやマンガ関係者が集まりました。
オープニングトークセッションとお祝いのメッセージが各所から!
まずは、「コミPo!」の開発に携わっている4名が登壇。左から「コミPo!」のキャラクターモデリングを担当したフリーデザイナーの西海圭祐さん、「コミPo!」のソフトウェア開発ディレクターである小野知之さん、マンガ家で「コミPo!」製作委員会委員長である田中圭一さん、ウェブテクノロジ・コムの「コミPo!」製作委員会統括ディレクターである大和智明さんです。
オープニングトークの後には、関係者やユーザーから寄せられた5周年をお祝いするコメントやイラストを紹介。
京都府精華町長の木村要さん、茨城県龍ヶ崎市教育委員会の岡野恵之さん、東京福祉大学教育学部准教授の竹内俊彦(lionfan)さん、ゲームジャーナリスト小野憲史さん、インプレスの竹元克己さん、コミックウェアの曽利和彦さん、日本マイクロソフトの戸倉彩さんなど、非常にたくさんの方々からメッセージが届いていましたよ!
労働法を漫画で解説した本を出している曽利さんのお祝いメッセージを受けて、田中圭一さんは「まさにコミPo!はこういうことに使って欲しかった」とコメント。
コミPo!を活用した京都府精華町のキャラクター、京町セイカちゃんを応援する声優の立花理香さんからもメッセージとイラストが届いていました。
メッセージの一部は「コミPo!」の公式サイトで見られるので、ぜひこちらもチェックしてみてください!
「コミPo! 発売5周年記念コンテスト」の結果発表
5周年を記念した「コミPo! 発売5周年記念コンテスト」が実施されました。募集を開始したのが2015年10月中旬と遅かったにもかかわらず、短い期間にすごいクオリティ高い作品がたくさん集まったそうです。田中圭一さんは「コミPo!は短期間でクオリティが担保できる。」と短い期間でもサクサク漫画を作れるメリットを強調していました。
また、69作品もの応募があったことについて開発ディレクターの小野知之さんは「(前回実施した)3年前と比べて、ずいぶんユーザーが増えたってことですよね~。」と驚いた様子でした。
応募があったうちの入賞は5作品。うち、佳作は2作品で、へけもこさんとヨモギ田モギ代さん。また、優秀賞も2作品あり、MidorikodanさんとSEDESUさんが選ばれました。
田中圭一さんが「絵が描けなくても漫画が描けるっていうコンセプトですので、そんな中から作品が上がってくると嬉しいですよね。」との感想を述べた後、いよいよ最優秀賞の発表へ。
最優秀賞を受賞したのは、しとろさんの『5年後のキミへ』でした!
しとろさんの作品を見た大和智明さんが「(現在のコミPo!では)首のキュッていうのは出せないのに。」とコメントすると、田中圭一さんは「ときどきこの人の漫画を読んでると手描きと区別つかない。」と、しとろさんのクオリティの高さをベタ褒めしていました。
なお、5周年のお祝いコメントとコンテストの入賞作品が載ってる冊子がイベント参加者全員に配布されました。公式サイトではコンテストの入賞作品を無料で読むことができますのでチェックしてみてください!
コミPo!の最新情報
「コミPo!」は何度も無料アップデートを行っていまして、つい12月1日にメジャーアップデートを実施。ソフトウェア開発ディレクターである小野知之さんが登場したばかりのバージョン3の大きな3つの特徴について解説してくれました!
パース変形機能
画像を傾けて、違ったアングルにすることが可能に!平面だったはずの画像を傾けることで奥行きを表現できるようになりました。
頂点変形機能
画像の頂点をつまんでグニャっとさせて変形できる。例えば、パソコン画面の素材をパソコンの画像をはめ込むのも簡単になりました。
コマ変形機能
漫画のコマには四角形しか使えなかったのですが、コマの形を丸、三角、斜めにすることができるようになり、角度を1度ごとに変更可能。手描きの漫画のようなコマ割りができるようになりました。
この新機能に感動した田中圭一さんは「次回から手描きでやってる作品はコミPo!でやります(笑)」とコメントしていましたよ!
そして、ここで小野知之さんがまだ登壇者にも明かしていないという最新情報を発表しました!
「データコレクション Vol.10 KIDS(仮称)」の発売が決定!
子供キャラクターのデータ集です。これにより「コミPo!」に子供キャラを登場させられるようになります。テクスチャはまだ開発中のものと断りをいれつつ、私服やスポーツウェアなど10パターンずつを用意しているとのこと。子供のポーズを作ったのはもちろんキャラクターモデリングを担当している西海圭祐さん。発売は2016年1月を予定。さらに、冬用の子供キャラクターとして長袖バージョン「データコレクション Vol.11 KIDS 2(仮称)」も開発中であることが明らかになりました。
京町セイカちゃんがボイスロイド化決定
京都府精華町の京町セイカちゃんをボイスロイドとして実現化させようという企画がクラウドファンディングで進行しているのですが、ついに目標金額に到達し、ボイスロイド化が決定!ボイスを担当することになった声優の立花理香さんが映像でお祝いのコメントを述べました!クラウドファンディングは12月27日まで受付中とのこと。
会場には西川さんが登壇。京町セイカちゃんを町のキャラクターとして全面採用してしまった京都府精華町の方です。セイカちゃんのボイスロイド実現化させるクラウドファンディングは開始から10日で目標を達成したそうです。
そもそも、精華町が「コミPo!」を活用して町のキャラクターまで作ってしまったことに驚きなのですが、他の事例がない中でここまで成功しているのはすごいですね。ボイスロイド化の決定でますますセイカちゃんの今後に期待です!クラウドファンディングは2015年12月27日まで受付していますよ。
コミPo!で漫画をアレンジするのが超おもしろい
イベントは内容がてんこ盛りで、続いてトークと漫画を披露するパネルディスカッションが行われました。
左から、コミPo! 系まんが家の谷沢川コウさん、ライターのセブ山さん、漫画家・小説家のダ・ヴィンチ・恐山さん、引き続き田中圭一さんの4人が登壇。
恐山さんが「コミPo!」を使って描いた漫画で商業出版での連載を獲得したことに話題が及ぶと、田中圭一さんは「(あの当時)なぜ、コミPo!と恐山の才能に気づかないんだ、という出版社が多かった。」と言うと、恐山さんは「そんななか、スクウェア・エニックスさんが採用してくれて。“どうやら手で漫画を描いているらしい”っていう程度の認識の人間が巻末のカラーをもらい続けているという。ほんとプレッシャーでした。周りが彫刻家でそこにレゴブロックで作品を作っているような感覚だった(笑)」とコメント。
そんな恐山さんの作品は月刊ビッグガンガンで連載していたギャグ漫画『くーろんず』。なお、『4コマくーろんず』はガンガンONLINEにて掲載中です。
関連:ダ・ヴィンチ・恐山の世界|ビッグガンガン|SQUARE ENIX
さて、このパネルディスカッションではライターのセブ山さんが作った4コマ漫画を谷沢川コウさんが他のメジャーな漫画を参考にして「コミPo!」で面白く改造するという企画も実施。
セブ山さんは普段から「オモコロ」で連載している面白い人で、4コマも実写で作っちゃってます。それだけでも面白いのに、谷沢川コウさんはこれをどう改造してくれるのでしょうか!?
まずはセブ山さんの4コマから。会場は大爆笑。
この写真の4コマを谷沢川さんが漫画『キングダム』をもとにしてアレンジ。OHPを使って解説します。
谷沢川さんによると、こういったコマにすることで、読むときに目線が止まらないんだそうです。セブ山さんの足がなかった写真に「コミPo!」で足を加えたり、コマから飛び出てるギギッてテキストもいい!飛んでる汗はなんと句読点の「。」!!汗は「U」(笑)このテクニックを使えばキングダムになっちゃうとのこと!すごい!
谷沢川さんが最後に放った「夜中にこの素材を受け取って、今から俺がこれを加工するのか、っていう気持ちも考えてくださいよ(笑)」というコメントが印象的でした。本当はセブ山さんの作品は3つも登場して、それを谷沢川さんがアレンジしてくれたんですが、このへんにしておきますね!
続いて恐山さんが作品をアレンジした作品を披露。連載してた月刊ビッグガンガンの『009』の6巻を引用しながら参考作品として紹介。実は、この回のセリフは合計でたった3つしかないですが、そこで恐山さんは4コマ『とうこう!』を18ページにしたとのことwww
この4コマの漫画を18ページに(笑)
1ページ目は空だけ。2ページ目は見開き!!これで原稿料ガッポリ(笑)『某カイジ』もきっとこれに違いない、と(笑)
めっちゃ面白かった~!!
誰でも漫画を作れる時代になり、中身がより重要に
漫画って絵がカワイイとかカッコいいとか大事な要素だとは思うけど、最後のパネルディスカッションを見て聞いて、やっぱり中身のストーリーとかコマ割りとか表現方法が重要なんだなぁ~と感じましたね。あと、他人の漫画をいじるのって斬新でいい!面白かった~!
「コミPo!」のユーザーがガンガンに増えている現状で、こういったコミPo!系マンガ家はこれからどんどん生まれていくことでしょう。とはいえ、プログラミングができるからといって必ず売れるiPhoneアプリを作れるわけではないのと同じで、いくらコミPo!で漫画が作れても面白い漫画を作れるかどうかは別の話です。中身が重要なんですよね。漫画を作るハードルが下がった分、面白さに力を注いで良い作品作りに没頭できるのが「コミPo!」の良いところ。今回の5周年記念イベントでは面白いコミPo!系マンガ家の方がすごくたくさんいらっしゃいましたし、参加されたみなさんにとって良い刺激になったのではないでしょうか!
「コミPo!」発売5周年、おめでとうございます!