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驚きのガジェットも出た!「第21回文化庁メディア芸術祭」、僕が注目したのはガチで動かせる“第三の腕”

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文化庁は2018年3月16日、第21回文化庁メディア芸術祭受賞作品を発表しました。受賞作品はアート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門から全32作品。

東京・六本木の国立新美術館で行われた「第21回文化庁メディア芸術祭受賞発表会」を取材してきましたので、受賞作品と作者さんのコメントを併せてお届けしたいと思います!

また、各大賞のほか、優秀賞と新人賞もそれぞれ発表。かなりテンションの上がる作品もあったので、ぜひ最後まで御覧ください。

 

第21回文化庁メディア芸術祭の注目ポイント!

国際的に評価の高い芸術祭として認知されつつある文化庁メディア芸術祭。第21回の今回はなんと世界98の国と地域から応募があり、過去最多の応募作品となりました!

アニメーション部門では「この世界の片隅に」と「夜明け告げるルーのうた」の2作品が大賞を受賞ということで、珍しいW受賞に!

また、今回はたいへんな快挙がありましたよ!メディア芸術祭では同じ監督や代表が大賞を2度受賞する例は過去に5組ありましたが、第21回では湯浅政明監督が3度目となる大賞を受賞!同じ人が大賞を3度も受賞したのは同芸術祭始まって以来の出来事とのこと。

それでは「第21回文化庁メディア芸術祭 受賞発表会」にて発表された各部門の受賞作品をご紹介していきましょう!

 

文化庁の柏田昭生氏が主催の挨拶

発表に先駆けて、同芸術祭の主催である文化庁から柏田昭生氏がご挨拶。

「受賞の発表が新産業の創出や観光による地方創生などにつながることへ期待している。6月に予定している受賞作品展では作品の展示のほかさまざまなイベントを実施するので、ぜひ足を運んでほしい」とコメントしました。


(文化庁 柏田昭生氏)

平成9年度から始まった同芸術祭ですが、21回目となる今回は98の国と地域から応募が会ったことに、たいへん喜んでいる様子でした。

さて、ここからはアート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門の各受賞作品をご紹介していきます!

アート部門 受賞作品

アート部門で大賞を受賞したのはチュニジアのHaythem ZAKARIA氏が手がけた「Interstices / Opus I – Opus II」です。受賞の発表を受けてZAKARIA氏はビデオレターでコメント。

「とても驚きました。控えめなこの作品が国境を越えて受けいられるとは思っていませんでした。Intersticesは写真、映像、インスタレーションを融合したものです。このプロジェクトに関わったすべての人に感謝を申し上げます。この賞を妻と子に捧げます」と受賞を喜んでいる様子でした。


(Haythem ZAKARIA氏)

また、ビデオレターの中ではOpus IIIについても語る場面があり、新たな展開に期待の持てる内容でした!

アート部門の全受賞作品の発表を終えて、中ザワヒデキ審査委員は

「メディアアートは現代アートのなかの一角なのだろうかそうじゃないのだろうかと問題になっているが、募集要項から“デジタル限定”がなくなって2年めの今年は応募作品が減ることなかった。大賞作品のように美術やアートのような力のあるものをしっかり見ていきたいと思っています」とコメント。


(中ザワヒデキ審査委員)

さらに、祝福の声を捧げるとともに惜しくも落選してしまった方々にはその作品を捨てないよう呼びかけました。悔しいとは思いますが、せっかくの作品を無にするのはもったいないですよ!

エンターテインメント部門 受賞作品

非常に注目を浴びたのはエンターテインメント部門。PS4ゲームの「人喰いの大鷲トリコ」が大賞を受賞しました。

代表の上田文人氏が登壇し、

「普段ゲームをやらない人に注目してもらって体験してもらいたいと思います」

と、ぜひプレイして遊んでほしいとコメント。


(上田文人氏)

そんな大賞をとった「人喰いの大鷲トリコ」も素晴らしいのですが、一方で新人賞を受賞したこちらの「MetaLimbs」がすごかった!

「MetaLimbs」を手掛けた佐々木智也氏とMHD Yamen SARAIJI氏が登壇。これ、人間にもう1本の腕(第三の腕)を追加できるマシンなんだそうです。もちろん、自分の意思で動かせる腕です。仕組みとしては足の指の動きをセンサーで読み取って、足で第三の腕を操作しています。

佐々木氏はこれを“人間拡張”と紹介していました。この腕で持てる物の重量は最大500グラムほどとまだ重い物を持つことはできませんが、めっちゃ欲しいと思いましたよ!実用化に期待したいです。

エンターテインメント部門の発表を終えた工藤健志審査委員は

「『人喰いの大鷲トリコ』はゲームが新しいステージに上がったかなと思う作品だった。一冊の文学を読んでるような。ゲームをやりながら行間のような余白のようなものが感じられて、キャラクターがその余白から溢れ出てくる。ゲームがまた新しい展開を見せてくれるんじゃないかという期待を込めて大賞にさせていただきました」と言うと、昨年との比較として

「昨年はシン・ゴジラとポケモンGOでしたが、今年は新しい価値、価値の発見、新しい時代を切り開く要素がそれぞれから読み取れた」と今回の受賞作品を高く評価していました。


(工藤健志審査委員)

 

アニメーション部門 受賞作品

続いて、アニメーション部門はなんと16年ぶりとなる2作品同時に大賞を受賞。「この世界の片隅に」と「夜明け告げるルーのうた」が大賞に輝きました。

「この世界の片隅に」のプロデューサーの真木太郎氏が片淵須直監督のコメントを代読。

「国内外の映画賞で受賞できました。私達のたどる道はまだまだ続きます。どうぞよろしくお願いいたします」と短めのコメントでしたが喜びを感じられました。


(真木太郎氏)

また、真木氏は自身のコメントとして

「SNSを含めたデジタルの口コミと通常のアナログの口コミの相乗効果で多くのお客様にかけつけていただいて、一昨年の11月に公開した映画がまだ上映されています。クリエイターとお客様の幸せな融合、結びつきがこの映画を支えていると。とても幸せな映画になったなと私は思います」

と、ロングランヒットになっている同作の素直な感想を述べました。

同時受賞となったのは「夜明け告げるルーのうた」。

壇上に上った湯浅政明監督は

「子供さんでも楽しめる内容になっています。Flashソフトでアニメーションを作っているのも特徴です。考え方の対立を描いていて、不死の人魚を描くとあって生と死のテーマを描いた作品です。自分たちが子供の頃に見たアニメーションの影響が込められている。ポニョのパクリと言われることもあったがパクったわけではなく、自分が子供のころに見た名作には大きな影響を受けているのでそういうのも出ているとは思います。この賞を得たことで理解していただいたと思います」

と述べました。


(湯浅政明監督)

ルー役の谷花音さんはビデオレターのなかで

「人魚の役をやり、難しかったのですが楽しかったです」とコメントを寄せました。


(ルー役の谷花音さん)

横田正夫審査委員はアニメーション部門の総評として、

「3つの特徴があった。①心が伝わりにくい、を描いた作品が多かった気がします。②大賞の2作品もそうですが、女の人の活力が中心にあった。女子力が日本のアニメーションの中の大きな流れになっている。③個性を顔というか衣服で存在感を示す作品が目立った」

と今回の特徴について語りました。


(横田正夫審査委員)

 

マンガ部門 受賞作品

最後はマンガ部門。大賞には「ねぇ、ママ」が選出されました!

著者の池辺葵氏に代わり、秋田書店の方が登壇。

「賞をいただきただただありがたい気持ちです。また気合を入れ直してやっていこうと思います」

と池辺葵氏のコメントを代読しました。

門倉紫麻審査委員は

「大人へのエールを感じられる作品だった。審査委員はスクリーンに映してみんなで見るですが、みんな見ながら“ほんといいよね”とすごくエモーショナルな感想が出た作品でした」

と感想を述べました。


(門倉紫麻審査委員)

続けて、

「多様な作品が集まっていて、マンガって多様ですばらしいなと思いました。Web初の作品が最終選考まで残っているのが少なかった。Twitterでヒットした作品が書籍化されて大ヒットとなる流れがあるなか、こちらに反映されてなかったのが残念だった。来年度は取りこぼしのないように審査していきたいと思います。10年以下の若手の方たちが素晴らしい作品を描いているのはマンガ業界にとって良いことだと感じました」

とマンガ部門を総評しました。

総評

 


(建畠暫運営委員)

すべての受賞作品の発表後、建畠暫運営委員は総評を述べ、

「海外からの応募が多数あって国際的な評価が定着してきたと思います。今年はそれぞれの部門から8作品、全体で32作品が受賞となりました。メディア美術は21回を重ねて成熟していると言うよりも、毎年時代とともに変化しています。テクノロジーの変化だけでなく社会的な事象など時代が反映されると思っています」

と、受賞する作品の傾向や応募作品に変化が表れていることを強調しました。

感想

僕はほんとにもう第三の腕を人体に追加できる「MetaLimbs」に目が釘付けになっちゃった!まさに原稿用のメモを取りながらデジカメで写真を撮ることの多い僕にとって、超欲しい「腕」だと思いましたね。

もうね、受賞者や審査委員のコメントをMacBook Proで打ちながら一眼カメラで皆さんのいい表情を狙うのなんて、かなりしんどいんですから!!(笑)

 

6月に開催の第21回文化庁メディア芸術祭受賞作品展で実際に見られる

さて、今回受賞した大賞作品だけでなく、優秀賞や新人賞を合わせた全32作品が一般向けにも公開されます!

第21回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」は2018年6月13日(水)~24日(日)まで国立新美術館などで展示。

アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガなどが一同に介するたいへん貴重な機会ですので、ぜひ足を運んでみてください!

 

第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品

 

アート部門

大賞
Interstices / Opus I – Opus II(Haythem ZAKARIA)

優秀賞
アバターズ(菅野創/やんツー)
進化する恋人たちの社会における高速伝記(畝見達夫/ダニエル・ビシグ)
水準原点(折笠良)
Language Production Factory(DAI Furen)

新人賞
I’m In The Computer Memory!(会田寅次郎)
Panderer(Seventeen Secondes)(Gary SETZER)
The Dither is Naked(YANO)

エンターテインメント部門

大賞
人喰いの大鷲トリコ(人喰いの大鷲トリコ 開発チーム)

優秀賞
FORESTA LUMINA(FORESTA LUMINA 制作チーム)
INDUSTRIAL JP(INDUSTRIAL JP)
PaintsChainer(米辻泰山)
Pechat(Pechat 開発チーム)

新人賞
盲目の魚 -The Blind Fish-(石川泰昭/ミカヅキフタツ/Keishi Kondo)
Dust(Maria JUDOVA/Andrej BOLESLAVSKY)
MetaLimbs(佐々木智也/MHD Yamen SARAIJI)

アニメーション部門

大賞
この世界の片隅に(片渕須直)
夜明け告げるルーのうた(湯浅政明)

優秀賞
ハルモニア feat. Makoto(大谷たらふ)
COCOLORS(COCOLORS 制作チーム)
Negative Space(KUWAHATA Ru/Max PORTER)

新人賞
舟を編む(黒柳トシマサ)
The First Thunder(Anastasia MELIKHOVA)
Yin(Nicolas FONG)

マンガ部門

大賞
ねぇ、ママ(池辺葵)

優秀賞
銃座のウルナ(伊図透)
ニュクスの角灯(高浜寛)
夜の眼は千でございます(上野顕太郎)
AIの遺電子(山田胡瓜)

新人賞
甘木唯子のツノと愛(久野遥子)
バクちゃん(増村十七)
BEASTARS(板垣巴留)

功労賞

田宮俊作
竹内オサム

 

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