30年間世に出さなかった究極の盃、大堀相馬焼 陶吉郎窯の白い「iki」で日本酒を無色で呑む【PR】

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福島県いわき市に「iki(粋)」という盃があります。クイッと気軽に日本酒を飲むおちょことは違い、平らでフチが薄い特徴のikiは大堀相馬焼のひとつで、最初の1杯を贅沢に味わうための盃です。

1690年代、相馬藩で生まれた白い土が特徴の焼き物「相馬焼」。当時の大堀から地域名を取って、1978年に「大堀相馬焼(おおぼりそうまやき)」と名付けられました。

いわき市「陶吉郎窯(とうきちろうがま)」の陶芸家、近藤学さんは近藤家陶業の9代目で大堀相馬焼を手掛ける代表的な陶芸家のひとり。

大堀相馬焼のikiは近藤学さんが30年前から作っている作品で、これがまた美しい!日本酒をしっかり味わいながら飲める良い盃なんです!

震災で相馬焼がピンチに、ikiを販売へ

相馬といえば、東日本大震災で大きな被害のあった地域。近藤さんは縁あって避難した先でも陶芸を続けることができ、2018年に今の陶吉郎窯をいわき市に構えました。

(大堀相馬焼 陶吉郎窯の近藤学さん)

しかし、震災前は県内に20数軒あった窯元が、今は14軒しか残ってないそうです。このまま窯元が減ればいずれ伝統ある相馬焼がなくなってしまう。自分たちもこの先どうなるかわからない。

そこで、生き残るためにもikiを販売して世の中に広めることにしたのです。

ikiはそれまで自分で使えばいいやと、自分用に作ってきたものでした。1990年ごろに相馬焼の伝統を重んじながらも他人と同じものを作ったのでは面白くないと、新たにチャレンジして作ったのがikiです。

(薄くて平たい盃「iki」)

ずっと世に出してこなかった幻のiki。今では大堀相馬焼陶吉郎窯の代表作として認められています。

大切なときのお酒に使いたいiki

そんなikiはとても繊細。「フチが細く鋭いのは、作るのが相当難しい」と近藤さんは言います。経験上、酒を最も美味しく感じる究極の形がこれだったのだとか。

(一番左のiki。装飾がなくお酒本来の良さを楽しめる)

なにせ、もともと自分たち陶芸家が日本酒を一番おいしく飲むために作った盃なのですから、まさに最強のアイテムなのは間違いありません。例えるなら、建築家が自分のために最高の家を建てるのと同じ。

これはぜひ試したい!ということで、そのikiで日本酒をいただくことに。

手が震えるほどの緊張感のなか、ikiを唇に合わすだけで日本酒がスーッと喉を通る不思議。

ズルズルっとすすることなく、滑らかな口づけから実に豊かな味わいが体に広がります。

なにかのお祝いや大切なシーンでの1杯目に、特別な盃として使いたいなと感じました。

酒の旨さを感じられるよう色や飾りは一切ありません。盃そのものに色がないため注いだ酒も透明で、先入観を持たずに酒だけを楽しめる盃です。

ギャラリー施設は過去の豪華洋館だった

取材で訪れた陶吉郎窯は非常に立派な建物なんです!焼き物の販売を行っているギャラリーになっているほか、外には登り窯やガス窯、電気窯も。

なんと、ここはもともとお金持ちの住んでいた洋館で、後に「いわき近代美術館」になった建物だそうで、そこを買い取ってリフォーム。とても素敵な雰囲気のあるところです。

ギャラリーにはikiのほか、近藤さんが極めたいとおっしゃっている象嵌(ぞうがん)がズラリ。

素材をかたどってそこに別の土をはめ込んで作るという繊細な工程の象嵌。それを薪を使って登り窯で焼くと、炎の方向や強さで異なる面白い模様が生まれ、味のある作品ができあがります。

今はガスや電気の釜もあるのに、なぜ伝統的な薪の登り窯にこだわっているのでしょうか。

「もちろんお金も労力もかかりますが、薪だと焼物に自然と灰がかかって色や模様がつくんですよ。それがひとつの景色になる。ガスや電気だとこうは作れません。とはいえ、良質な作品をより多く作るため、しっかりデータを取って計算もしているんですよ」

と言いながら、登り窯を見せてくれました。

登り窯の薪には一気に高温になる松の木を使っているそうです。その温度は1,300℃。5〜7日間ほど焼き続けます。

焼き物の窯をこんなに見る機会はなかなかありませんでしたので、つい見入ってしまいましたよ。これからもここで様々な作品を作っていくのでしょうね!

大堀相馬焼陶吉郎窯の作品たち

そのほか、陶吉郎窯で作られたたくさんの作品をご紹介して終わりにしたいと思います。

この日いただいた抹茶シフォンケーキの器やお茶のお椀も大堀相馬焼。ちなみにシフォンケーキは奥様のお手製(非売品)。

ビールの泡が細かくなり、泡が消えにくいのがこちらのビールグラス。なんと、数年前にキリンのキャンペーンで景品に採用された作品!すごい。

近藤さんはその当時の新聞広告にも出てたそうです!

お蕎麦の盛られたこちらは「水切り皿」。特許を取得している作品で、蕎麦のほか蒸し料理や冷奴に使ったり、様々なシーンで使えます。

そして、馬の絵がついた焼物がもともとの相馬焼↓

焼くと金属音を鳴らしながら入っていくこのヒビが特徴です。ビックリしたのが、まるで生き物のように今後も模様のような細かいヒビがどんどん生まれて行くのだとか!相馬焼って不思議で面白いなぁ!

一方で、こちらのとても大きな作品は、息子の近藤賢さんが作った作品。↓

賢さんはあのLEXUSが主催のLEXUS NEW TAKUMI PROJECT(2017)に選出されたそうで驚きました。↓

大堀相馬焼 陶吉郎窯の場所はJR常磐線・草野駅から車で10分ほど。

作品の一部はオンラインショップでも販売しているので、ぜひのぞいてみてください。

大堀相馬焼 陶吉郎窯
■営業時間:10:00~18:00
■定休日:毎週火曜日
■TEL・FAX:0246-38-7855
■住所:福島県いわき市四倉町細谷字水俣75-17

提供・お問い合わせ:いわき地区商工会広域連携協議会

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